福利厚生とは?種類や強化するメリット・導入方法などを解説

福利厚生とは?種類や強化するメリット・導入方法などを解説

従業員の満足度向上や人材確保の観点から、福利厚生の重要性がますます高まっています。本記事では、法定福利厚生と法定外福利厚生の違いや企業が制度を強化するメリット、導入を検討したい人気の高い制度などを解説します。制度の見直しを効果的に進める方法や、活用したいサービスなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


福利厚生とは

福利厚生とは

福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して、給与や賞与とは別に提供する報酬やサービスを意味します。従業員の生活の質を向上させ、働きやすい環境を整えることで、従業員のロイヤリティを高めるのが目的です。

大企業・中小企業それぞれがさまざまな福利厚生制度を導入しており、企業の経営戦略の一環として、また持続的な成長を支える要素として、重要な位置づけとなっています。

福利厚生の種類

福利厚生の種類

福利厚生は大きく分けて「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があります。それぞれの違いと代表的な制度を紹介します。

■法定福利厚生

法定福利厚生は、労働基準法や社会保険関連法などにより、企業に提供が義務付けられている、以下のような制度です。

【法定福利厚生の主な内容】

  • 健康保険:従業員とその家族の医療費負担を軽減(医療費の7割給付)
  • 厚生年金保険:従業員の老後の生活を保障
  • 雇用保険:失業時の生活保障や職業訓練の提供
  • 労災保険:業務上の災害における補償
  • 介護保険:40歳以上の従業員の介護に関する保障

法定福利厚生は、従業員の生活を守る社会保障制度の基盤として、大企業・中小企業といった企業規模にかかわらず、必ず整備しなければなりません。なお、保険料は労使で負担することが定められており、従業員の給与から天引きされる仕組みになっています。

■法定外福利厚生

法定外福利厚生は、企業が独自に提供する任意の制度です。代表的な法定外福利厚生には、以下のようなものがあります。

【法定外福利厚生の主な内容】

  • 住宅関連:住宅手当、社宅・寮の提供、住宅ローンの援助など
  • 健康関連:人間ドック費用補助、フィットネスクラブ利用補助、保養所など
  • 慶弔関連:結婚祝い金、出産祝い金、弔慰金など
  • 生活支援:通勤手当、食事手当、制服支給、社員食堂など
  • 教育支援:資格取得支援、研修制度、社内勉強会など
  • レジャー関連:社員旅行、レクリエーション施設利用、クラブ活動支援など
  • 財形貯蓄:財形住宅貯蓄、一般財形貯蓄など

全企業一律の法定福利厚生と異なり、企業の規模や業態、従業員のニーズ、あるいは企業文化などにより柔軟に設計されることが、法定外福利厚生の特徴です。また、従業員満足度を高めるだけでなく、企業の競争力を高める要素にもなっています。

企業が福利厚生を強化するメリット

企業が福利厚生を強化するメリット

福利厚生を強化することには、企業と従業員の双方それぞれに、以下のようなメリットがあります。

■会社側のメリット

まずは、企業側のメリットから紹介します。

①人材の定着が期待できる

福利厚生を充実させると、会社に対する満足度を高め、「長く働きたい」と考える従業員が増える効果が期待できることがメリットです。とくに、従業員のライフステージにあわせた支援制度があると、結婚・出産・介護などの環境変化があっても働き続けやすくなります。結果として優秀な人材の流出を防ぎ、安定的な事業運営につながります。

②採用競争力を上げられる

東京商工会議所の「2024年度 新入社員 意識調査 集計結果」によると、就職先の会社を決める際に重視したこととして福利厚生を挙げた人は全体の45.4%で、処遇面、社風・職場の雰囲気に次いで3位となっています。充実した福利厚生は、企業の採用ブランドを高め、優秀な人材の獲得にも役立ちます。

③生産性と企業文化が向上する

健康支援や働き方改革に対応する福利厚生を充実させると、従業員の心身の健康が維持され、働くモチベーションが向上します。また、福利厚生を通じて社内交流が活発化すると、良好な企業文化の醸成にも寄与します。これらの相乗効果の結果、組織全体の生産性向上が期待できることもメリットです。

■従業員側のメリット

福利厚生が充実することには、従業員側にも以下のようなメリットがあります。

①経済的負担を減らせる

住宅手当や通勤手当、食事手当などが充実すると、日常生活にかかる費用の負担が軽減されます。また、社会保険料は企業も負担するため、結果的に少ない負担で大きなリターンを得られます。企業の福利厚生制度を利用することで、個人で契約するよりも有利な条件でサービスを受けられるのもメリットといえるでしょう。

②健康と生活の質を向上できる

定期健康診断の実施や人間ドック費用の補助、フィットネス施設の利用支援などにより、健康が維持・促進されます。また、育児・介護休暇や住宅支援などが仕事と生活の両立をサポートするため、総合的な生活の質向上につながります。

③スキルを向上できる

資格取得支援や研修制度を活用することで、より専門的なスキルを習得できるのもメリットです。さらにリスキリングに関する支援も受ければ、個人の社内での価値を高め、キャリアアップや長期的なキャリア形成にも役立ちます。

導入したい人気の高い福利厚生の例

導入したい人気の高い福利厚生の例

従業員満足度を高め、企業の競争力向上にもつながる福利厚生制度には、どんなものがあるのか気になるのではないでしょうか。ここからは、導入をおすすめしたい福利厚生制度の具体例を、ご紹介していきます。

■生活支援プログラム

従業員の生活基盤を支える経済的な支援は、福利厚生の基本として重要です。

①住宅関連支援

住宅手当の支給や社宅・寮の提供は、従業員の住居費の負担を大幅に軽減し、生活基盤の安定に貢献します。とくに所得の少ない若手従業員にとっては魅力的で、採用活動においても強みとなるでしょう。

②食事・健康支援

社員食堂の設置や食事手当の支給は、従業員の健康管理と経済的支援を両立できる効果的な制度です。また、定期健康診断の実施や人間ドック受診の補助などの予防医療への取り組みは、医療費の負担軽減にもつながります。

■ 働き方改革への対応

近年は、働き方改革に対応し、従業員のワークライフバランスを実現する以下のような制度が注目を集めています。

①特別休暇制度

法定の年次有給休暇に加え、リフレッシュ休暇やボランティア休暇のほか、バースデー休暇など、従業員の暮らし全体に目を向けた特別休暇が人気です。これらは従業員の気分をリフレッシュさせ、モチベーション維持に効果があります。

②在宅勤務制度

コロナ禍を機に一般化した在宅勤務は、柔軟な働き方を推進し、ワークライフバランスを実現する、重要な福利厚生の一つになりました。通勤時間の削減による時間の有効活用や、仕事と家庭の両立支援につながります。企業側にも、オフィスコストの削減や、地方在住の優秀な人材確保など、メリットが多い施策です。

③フレックスタイム制

コアタイムを設置しつつ、始業・就業時刻を柔軟に設定できるフレックスタイム制は、多様なライフスタイルに対応できます。個々の生活スタイルにあわせた柔軟な働き方ができるようになるため、生産性の向上や残業時間削減にもつながります。

■健康経営の推進

近年は、健康経営の観点から、従業員の心身の健康管理を支援する取り組みを重視する企業も増えています。

①メンタルヘルスケア

ストレスチェックの定期実施や、外部カウンセラーによる相談窓口の設置などは、従業員のメンタルヘルス対策に欠かせません。また、管理職向けの教育プログラムも重要です。メンタルヘルス不調者の早期発見・対応は、休職を未然に防ぐ効果もあります。

②健康増進施策

フィットネス施設の利用補助や健康セミナーの開催は、従業員の健康意識の向上に貢献します。スポーツイベントの開催やクラブ活動の支援も、健康増進と社内コミュニケーションの活性化実現に役立つでしょう。とくに、フィットネスクラブの利用補助は、場所や時間を選ばず、従業員が主体的に継続できる効果的な制度として注目されています。

一方、健康経営の推進は多くの企業にとって重要課題となっているものの、具体的にどういったサービスを、どのように導入すればよいのか悩んでいる企業も多いようです。

そこで次章では、健康経営の課題を解決するための具体的なソリューションをご紹介します。

従業員の健康づくりをサポートする福利厚生サービス

従業員の健康づくりをサポートする福利厚生サービス

従業員の健康管理は、企業の持続的な成長において、とくに欠かせない要素です。ここからは、健康経営の実現を支援する具体的なサービスについて解説します。

■フィットネスクラブの法人会員制度

従業員の健康維持を支える人気の高い福利厚生プランの一つが、フィットネスクラブの法人会員制度です。例えばCOSPAウエルネスでは、3つの法人会員制度を提供しています。

①コ・ス・パ共通法人会員制度

複数のコ・ス・パ、FITBASE24(24時間ジム)が利用できるプランです。従業員数に関わらず、利用回数によって年会費を選択でき、コーポレート会員制度など、多様なサービスを柔軟に活用できます。

②コ・ス・パ個店法人会員制度

特定の1店舗を利用できるプランで、従業員数が少ない企業に適しています。特定店舗を気軽に利用できる、使い勝手のよいプランです。

③全国法人会員制度

コ・ス・パをはじめとした、全国の提携フィットネスクラブを利用できるプランです。広域展開する企業でも、地域を限定せずに公平な福利厚生制度の導入をサポートします。

■健康経営支援

COSPAウエルネスでは、以下のような健康経営支援もおこなっています。

①出張・オンライン 健康セミナー

栄養、運動、心理面から、ヘルスリテラシーを高めるセミナーを、出張やオンライン形式で開催します。「メタボ対策」「疲労対策栄養指導」「職場の腰痛・肩こり対策」「ココロとカラダのリラクゼーション」「メンタルヘルスケア」「姿勢改善」など多彩なテーマに対応しており、ご希望に応じてオーダーメイドのプランのご提供も可能です。

②出張測定イベント(運動指導)

従業員の健康づくりをサポートする測定イベントを開催します。筋力や柔軟性、体組成、血管年齢などの測定を通じて現状を把握し、生活習慣の改善や運動の取り入れ方などをアドバイスします。

③企業向けオリジナル体操

デスクワーク向け、立ち仕事向けなど、業種や業務内容に最適化したオリジナルの職場体操を開発・提供します。職場体操は、メンタルヘルス対策や生活の質向上のほか、現場の事故防止などにも効果を発揮します。

④オフィスフィットネス

社内スペースを活用し、フィットネスマシンやストレッチ設備などを設置して、従業員が手軽に運動できる「オフィスフィットネス」の整備に取り組むプランです。業種や企業規模に応じたプランを提案し、健康経営や生産性の向上をサポートします。

福利厚生制度見直しの進め方

福利厚生制度見直しの進め方

ここでは、効果的な福利厚生制度に見直すためのステップを、4つにわけて解説します。

■STEP1. 福利厚生費の現状を把握する

まずは、福利厚生費の現状把握と分析から始めましょう。現在の福利厚生にかかっている費用を項目別に整理し、利用状況を確認し、費用対効果を分析します。十分に活用されていない制度や、逆に予算が不足している制度を明確にすることで、改善の方向性が見えてきます。

■STEP2. 従業員のニーズを分析する

福利厚生制度は、実際に利用する従業員のニーズに応えることが成功のポイントです。従業員アンケートやヒアリングを実施して、年齢層や家族構成なども考慮しながら、求められている支援を具体的に把握しましょう。

■STEP3. 福利厚生プランを検討する

現状分析と従業員のニーズを踏まえ、具体的なプラン設計に移ります。法定外福利厚生は、パッケージプランとカフェテリアプランの2つの選択肢があり、企業の状況によって最適な選択は変わってくるため、自社の特性や目的に応じて選ぶことが重要です。

①パッケージプランの特徴と適した企業

パッケージプランは、さまざまなサービスをまとめて導入する「総合型福利厚生制度」です。福利厚生サービスの代行業者のサービスの利用が一般的で、運営管理の手間が少なくてすむのが特徴です。従業員が多くスケールメリットを得られる企業や、総合的なサービスを効率よく提供したい企業、コストを抑えて幅広いプランを提供したい企業に向いています。

②カフェテリアプランの特徴と適した企業

カフェテリアプランは、自由に福利厚生メニューを選択できる「選択型福利厚生制度」です。従業員に一定のポイントを付与し、その範囲内で従業員が好きなメニューを選んで利用します。独自の福利厚生を打ち出したい企業や、従業員の多彩なニーズに応えたい企業に向いています。

■STEP4. 定期的に制度を見直す

福利厚生制度は、導入して終わりではありません。各制度の利用率や満足度を定期的にチェックし、従業員のニーズの変化に応じて制度を見直しブラッシュアップしていきましょう。

まとめ

まとめ

福利厚生を充実させることには、従業員だけでなく、企業にとっても採用競争力や生産性の向上など多くのメリットがあります。福利厚生を再設計するときには、従業員のニーズを把握・分析し、予算や目的に合うプランを選ぶことが重要です。

COSPAウエルネスでは、福利厚生の充実を支援する多彩なサービスを提供しています。フィットネスクラブの利用補助などを検討されている企業は、まずは気軽にご相談ください。





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