五大栄養素とは?それぞれの働きもわかりやすく解説

五大栄養素とは「タンパク質」「脂質」「糖質(炭水化物)」「ビタミン」「ミネラル」の5種類であり、私たちが健康に生活していく上で必要な栄養素です。 今回は、そんな五大栄養素とは何か?またどのような働きをしているのか?などについて詳しくお話していきたいと思います。


五大栄養素とは?「一覧表でわかりやすく解説!」

五大栄養素とは

人が生きていく上で必要な栄養素は約40種類あるとされていますが、これを大きく分けると五大栄養素の「タンパク質」「脂質」「糖質(炭水化物)」「ビタミン」「ミネラル」の5種類になります。
これらの栄養素をバランス良く必要量摂ることにより身体が健康に保たれます。
ここからは五大栄養素を1つずつ詳しくお伝えしていきますが、主に五大栄養素の働きとは私たちの「身体を作り・調子を整え・エネルギー源になる」といった働きが主です。

五大栄養素「タンパク質」の働き

五大栄養素「タンパク質」の働き

タンパク質はアミノ酸に分解されて筋肉の元になるということが、一般的に良く知られていることかと思います。
しかし、それ以外にも多くの酵素、血液に含まれるヘモグロビン、お肌のコラーゲン、髪の毛や爪の成分であるケラチン、そして臓器などこれらに共通するのが全てタンパク質であり、実は体重の1/5を占めているエネルギー源なのです。
つまり、私たちの身体から骨・脂肪・水分を除くと、ほとんどタンパク質しか残りません。
また、一言にタンパク質といっても、種類は現在分かっているだけでも約10万種類あり、休むことなく私たちの身体の中で働いてくれています。

■タンパク質とは
タンパク質とは、アミノ酸の集合体です。
また、体内に吸収されるときは再びアミノ酸に分解されます。
アミノ酸は、自然界には約500種類も存在するとされていますが、タンパク質の材料となるアミノ酸は20種類ぐらいです。
この20種類のアミノ酸が結合してタンパク質が形成されます。
また、この結合をペプチド結合と呼びます。

■タンパク質が多い食べ物は?
タンパク質が多い食べ物は「肉類」「魚類」「卵類」「大豆製品」「乳製品」です。

五大栄養素「脂質」の働き

五大栄養素「脂質」の働き

脂質は身体を動かす為のエネルギー源であり、もっとも高カロリーな栄養素で脂質1g当たりのエネルギー量は約9kcalです。
細胞膜・血液・ホルモンなどの材料となり、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)などの吸収を良くする働きがある栄養素です。
脂質は一般的には不足しにくいとされていますが、ダイエットなどで油分を極端にカットすると、肝臓の機能低下・皮膚がカサカサになるなどの影響があり、成長期の子供では発育障害が現れることがあるので注意が必要です。
「脂質」という響きから誤解をすることが多い気がしますが、単純に脂肪になるためだけではないということを覚えておきましょう。
また、脂質を構成する重要な成分を「脂肪酸」と呼び、食品中の脂肪の9割が脂肪酸でできています。肉の脂肪、牛乳の脂肪、魚の油、植物油など一見違った脂肪に見えますが、その成分はほとんど脂肪酸であり、この脂肪酸には2種類「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」とあります。

■飽和脂肪酸
主に動物性の脂(一部、植物性の脂も含まれる)で、酸化しにくく常温では個体であることが多く「固い脂肪」とも呼ばれています。
肉類の脂・バター・乳製品・ココナッツ油・ヤシ油などに含まれていて、身体の皮膚に近い性質を持ち体内でさまざまに利用されていますが、悪玉性の脂肪なので摂りすぎには注意が必要です。

■不飽和脂肪酸
主に植物性であり常温では液体で、コレステロールを下げる働きがあります。 また、大きく3種類「トランス脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」「一価不飽和脂肪酸」に分けられます。


<トランス脂肪酸>
トランス脂肪酸とは、フライドポテト・菓子パン・アイスクリーム・ドーナツなど、植物性油脂を加工した食品に多く含まれています。 また、トランス脂肪酸は以下の4点から体に悪いとされています。

  1. 体内で分解することが難しい為
  2. 悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を増加させる為
  3. 善玉コレステロール(HDL)を減少させる為
  4. 心臓病をはじめ様々な病気の引き金になる為

トランス脂肪酸は、体内での分解・代謝が難しいので、その際にビタミン・ミネラルが多く消費され身体に大きな負担がかかります。ビタミン・ミネラルについては後述いたしますが、これらは身体が正常な機能をする為にとても大切なものです。


<多価不飽和脂肪酸>
多価不飽和脂肪酸に属しているのは「オメガ3」や「オメガ6」で、オメガ3は細胞膜を柔らかくする働きがあるのに対しオメガ6は逆に細胞膜を固くする働きがあります。
オメガ3を多く含む油はひかりものと言われる青魚・シソ油・亜麻仁油で、オメガ6を多く含む油はベニバナ油・コーン油・大豆油など、一般的にサラダオイルといわれ揚げ物に使われているものです。
また、オメガ3とオメガ6の摂取バランスとしては、「1(オメガ3):1~4(オメガ6)」が理想ですが、食生活が乱れている人だと「1(オメガ3):10~50(オメガ6)」になっている恐れがあります。


<一価不飽和脂肪酸>
一価不飽和脂肪酸に属しているのは「オメガ9」で、オメガ9とはオレイン酸という悪玉コレステロールの上昇を減少させる有効な油です。
また、身体から出る油に最も多く含まれている成分なので乾燥肌対策にもなる、油の中で最も酸化しにくい油です。

五大栄養素「糖質」の働き

五大栄養素「糖質」の働き

糖質とは炭水化物とも呼ばれていて、お米などがその代表格とされています。
皆様ご存じかと思いますが、糖質を過剰摂取すると脂肪として蓄積され肥満の原因となりますが、逆に糖質の不足はエネルギー不足となり疲労感に襲われます。
また、脳はブドウ糖が唯一のエネルギー源なので、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が下がると集中力が欠けます。
一言に糖質と言っても、糖質には3種類「単糖類」「二糖類」「多糖類」とあります。

■単糖類(ブドウ糖・果糖など)
私たちのエネルギー源であり、糖類の中で最も甘く果物やはちみつの甘味成分です。

■二糖類(乳糖・ショ糖・麦芽糖など)
単糖が2つ結合したもので一般的には砂糖のこと。でんぷんの分解物でもあります。

■多糖類(グリコーゲン・デンプンなど)

単糖が3つ以上結合したもので、お米・小麦粉・とうもろこしに多く含まれています。

■注意すべき糖質
4 とうもろこしやジャガイモなどのでん粉を主原料として作られる異性化糖は、清涼飲料水・ダイエット飲料・冷菓子・加工食品に入っていることが多く、摂取しすぎによる肥満・糖尿病・メタボの要因として研究者より健康被害の報告がされていますので注意が必要です。

■複合炭水化物を摂りましょう
吸収の良すぎる炭水化物は、血糖値の上昇下降が激しく身体に負担をかけたり、脂肪になりやすいという欠点がありますので、複合炭水化物という吸収が緩やかな炭水化物を摂ることをおすすめします。
特にGI値の低い未精製の穀物には食物繊維・ビタミン・ミネラルが多いのでおすすめです。
精製された白米よりも玄米がおすすめとされている理由はこれです。

五大栄養素「ビタミン」の働き

五大栄養素「ビタミン」の働き

ビタミンは代謝の調節をする栄養素であり、「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」と2つに大きく分けることができます。 ビタミンは体内で作ることが難しいので、主には食べ物などから摂取する必要があります。
また、むやみにビタミンを摂取するのではなく、自分に必要なビタミンを摂取する必要があります。

■脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンとは、ビタミンA・D・E・Kの4種類で油に溶けやすく水に溶けないビタミンです。
また、体内で蓄積することのできるビタミンなので、過剰摂取はトラブルの元となりますので注意が必要です。


<ビタミンA>
ビタミンAは、美容ビタミンとも呼ばれていて皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあります。

~ビタミンAが不足すると起きる症状~
  • 目のトラブルが増える
  • 肌・髪がパサパサになる
  • 口内炎が治りにくくなる


<ビタミンD>
ビタミンDは、カルシウムの相方であり丈夫な骨づくりに欠かせないビタミンです。

~ビタミンDが不足すると起きる症状~
  • 虫歯ができやすくなる
  • イライラしやすくなる


<ビタミンE>
ビタミンEは、女性ビタミンとも呼ばれていて、老いとの関係が深い活性酸素を撃退するビタミンです。

~ビタミンEが不足すると起きる症状~
  • 肌が乾燥しやすくなる
  • 肩こり・腰痛がひどくなる
  • 体臭の原因になる
  • 更年期障害が重くなる


<ビタミンK>
ビタミンKはビタミンDと共に骨を丈夫にしたり、怪我で出血した時に血液を固める働きのあるビタミンです。

~ビタミンKが不足すると起きる症状~
  • 怪我した時に出血が止まりにくくなる
  • 骨がもろくなる
  • 鼻血が出やすくなる
  • 青あざができやすくなる



■水溶性ビタミン
水溶性ビタミンとは、先ほどの脂溶性ビタミンとは逆で水に溶けやすいビタミンなので、たくさん摂取しても体内で溜めておくことができないので、こまめに摂取する必要があるビタミンです。


<ビタミンC>
ビタミンCはビタミンの中でも代表的なビタミンと言えます。
潤った肌の維持・風邪予防・ストレス対策など様々な働きを行うビタミンです。

~ビタミンCが不足すると起きる症状~
  • 肌が乾燥しやすくなる
  • シワ・シミができやすくなる
  • イライラしやすくなる
  • 風邪をひきやすくなる


<ビタミンB1>
ビタミンB1は、玄米などに多く含まれていて、脳や神経の働きをサポートするビタミンです。

~ビタミンB1が不足すると起きる症状~
  • 疲れやすくなる
  • 精神的に不安定になりやすくなる


<ビタミンB2>
ビタミンB2は、抗酸化酸素の働きを助ける役割があり、脂肪燃焼・美肌維持に関係しているビタミンです。

~ビタミンB2が不足すると起きる症状~
  • 口内炎になりやすくなる
  • 目が疲れやすくなる


<ビタミンB6>
ビタミンB6は、タンパク質の代謝を助け、また、PMS・つわり・妊娠中毒症などに効果的に働くビタミンです。

~ビタミンB6が不足すると起きる症状~
  • つわりが重くなる
  • 生理前に体調を崩しやすくなる
  • 口内炎になりやすくなる


<ビタミンB12>
ビタミンB12は、赤血球を作り出すのを助ける働きがあり、貧血・肩こり・不眠などに効果が高いビタミンです。

~ビタミンB12が不足すると起きる症状~
  • 肩こり・腰痛になりやすくなる
  • 貧血を起こしやすくなる
  • 記憶力が低下しやすくなる


<ビタミンB3(ナイアシン)>
ビタミンB3(ナイアシン)は、エネルギー代謝に関わるとともに、消化器官を正常に保ちアルコールを分解する働きもあるビタミンです。

~ビタミンB3(ナイアシン)が不足すると起きる症状~
  • 肌荒れしやすくなる
  • 二日酔いになりやすくなる
  • 胃腸の調子が悪くなる


<ビタミンB5(パントテン酸)>
ビタミンB5(パントテン酸)は髪・肌をキレイに保ち、栄養素の代謝を促す女性に人気のビタミンです。また摂りすぎても大丈夫なビタミンです。

~ビタミンB5(パントテン酸)が不足すると起きる症状~
  • イライラしやすくなる
  • 肌がボロボロになる
  • 疲れやすくなる

<ビタミンB9(葉酸)>
ビタミンB9(葉酸)は胎児の正常な発育を支えるとともに、動脈硬化の予防も期待できるビタミンです。

ビタミンB9(葉酸)が不足すると起きる症状
  • 貧血になりやすくなる
  • 口内炎になりやすくなる
  • 動脈硬化になりやすくなる


<ビタミンB7(ビオチン)>
ビタミンB7(ビオチン)は皮膚の炎症を抑える働きがあり、アトピー性皮膚炎の治療にも使われます。


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