食育(食育基本法)と聞くと「栄養のある食べ物を知ることかな?」といったイメージがあるかもしれませんが、これは半分正解で半分不正解です。
今回は簡単に食育とはどういった考え方なのかを紹介し、その後、率先して食べていきたい食材の紹介と、逆に注意をしていきたい食の安全性についてお話していきたいと思います。
食育とは?「栄養教育と食事教育が合わさったもの」
食育とは、従来からの教育三本柱である知育・徳育・体育の土台となるものとして、2005年6月に食育基本法が制定されました。
「食育=栄養教育+食事教育」であり、栄養教育では肉体的健康・栄養学・安全論・生産(農業、漁業)を中心に、食事教育では精神的社会的健康・食事学、食事文化・調理、加工・供卓、マナーを中心に考えられた教育です。
以前の日本は山の幸や海の幸に恵まれて、米を主食として食卓は栄養バランスが良く、家族一緒に食卓を囲みとても豊かな食生活を送ってきました。しかし近年ではコンビニ弁当やお惣菜が充実し、レトルト食品の発達により外で購入したものを、家で一人で食べるような食事が一般的になりつつあります。
栄養のある身体に良いものを食べるだけでなく、家族で食事を分かち合い心も分かち合うという食育の考え方から、今回は食にについて普段から意識したいことについて紹介していきたいと思います。
「旬」を大切に。春夏秋冬の旬の食材を紹介!
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、これは日本の食文化が世界から見ても受け継がれ残されていくべき財産だと認定されたということです。
そんな和食の魅力は、日本の四季に合わせた旬の食材を使ったものですね。今回は春夏秋冬別におすすめな旬の食材を紹介していきたいと思います。
■旬の食材「春」
春は野山が一斉に芽生えて新鮮な素材に恵まれます。
春の野草は成長が早い為、味もドンドンと変わっていきますのでその時期に応じた薬草を味わいましょう。
<薬草>
たんぽぽ・つくし・おおばこ・はこべ・ゆきのした・せり・にら・よき・三つ葉・ヨメナ・春ウド・のびる・ぜんまい・ウド・わらび・木の芽・たらの芽など
<野菜>
セロリ・ブロッコリー・みょうが・キャベツ・アサツキ・小松菜・白菜・春菊・ネギ・白菜・広島菜・ほうれん草・さやいんげん・菜の花・からし菜
<根菜類>
ごぼう・春大根・タケノコ・レンコン・サツマイモ・ジャガイモ・玉ねぎ・山芋・京人参・ゆり根・らっきょう
■旬の食材「夏」
梅雨から真夏まで出回る、ソラマメ・さやいんげん・枝豆・なす・きゅうり・トマトの野菜類。スズキ・太刀魚・ハモなどの白身魚がおいしい季節です。
<野菜>
かぼちゃ・ナス・白うり・きゅうり・冬瓜・枝豆・玉ねぎ・さやいんげん・三寸人参・おくら・サツマイモ・トマト・らっきょう・レタス・キャベツ・小カブ・ピーマン・しそ・きくらげ・生姜・ぜんまい・タラの芽・里芋・ジャガイモ・ゆり根・夏みょうが・ニラ・クリ・秋ナス・松茸・みずな・しし唐辛子・柚子など
■旬の食材「秋」
秋は春に芽生えたものが実りを迎える時期で、松茸・サツマイモ・里芋などが豊富に出回ります。魚も白身魚がとても新鮮でおいしいですね。
<野菜>
なす・白ネギ・クリ・枝豆・秋大根・レンコン・春菊・長ネギ・野沢菜・日野菜・すぐき菜・秋カブ・小カブ・小イモ・サツマイモ・里芋・芋茎・オクラ・なめこ・ブロッコリー・エノキ・マツタケ・ハツタケ・ボウフウ・ホンシメジ・マッシュルーム・ジュンサイ・ゆず・秋みょうが・山芋・ゆり根・ぎんなん・しそ・京人参・長人参・菊花・すだち
■旬の食材「冬」
冬は寒いので身体が温まる野菜を選び煮込み料理がおすすめです。根野菜は日持ちするのでバランスうまく活用していきたいですね。
<野菜>
大根・人参・ごぼう・レンコン・白菜・水菜・ユキノシタ・里芋・小松菜・春菊・セリ・ユリ根・かぶら・青ネギ・玉ねぎ・なずな・ホトケノザ・ヨモギ・くわい・エノキ・紅人参・キャベツ・山芋
<果物>
みかん・リンゴ・柿
食の安全性について知り、日々意識したいこと
ここまでに旬でおすすめな食材について紹介してきましたが、現代人の私たちが普段食べているものは全て安全とは言えない状況です。
①遺伝子組み換え食品
②環境ホルモン
③残留農薬
④食品添加物
今回はその中から上記4つの注意点などを紹介していきたいと思います。
■①遺伝子組み換え食品
遺伝子組み換え食品とは、植物が本来持っていなかった遺伝子を人工的に外から入れて、遺伝子操作をしてつくり出された食品のことです。
遺伝子を組み合わせることにより、害虫や除草剤に対する抵抗力を強くしたり、たくさんの品種を開発することができるので、近年急速に伸びている技術です。
<遺伝子組み換え食品のメリット>
- 栽培にかかる手間を削減
- アレルギー物質を除いた食品の生産
- 日持ちして品質の安定した食品
- 不毛な農地でも栽培できる
<遺伝子組み換え食品のデメリット>
- 人工的につくられたものなので人体への影響が気になる
- 安全性についての評価が足りないという問題がある
- 従来の生態系を狂わせる可能性がある
<日本で承認されている遺伝子組み換え農産物>
- 大豆
- ナタネ
- トウモロコシ
- 綿
- ジャガイモ
- テンサイ
■②環境ホルモン
環境ホルモンとは、私たちの成長や生殖行動に関するホルモン作用を阻害する性質を持っている人工的な化学物質のことです。
私たちの身の回りには環境ホルモンが存在し、口・鼻・皮膚などから体内に侵入してきます。
体内ではあたかも生体ホルモンの様な働きをしますが、これは本来のホルモンの働きを邪魔することとなります。
<環境ホルモンによる影響>
- 不妊症
- 生殖腺ガン
- 精子の数の減少
<環境ホルモンが含まれていると指摘されるもの>
- カップラーメンの容器
- 食品用ラップフィルム
- ほ乳瓶
- プラスチック製品
■③残留農薬
農薬は農作業の軽減や害虫の駆除などの目的で使用されていますが、その危険性は問題視され社会問題にもなっています。
そんな農薬は、スーパーで購入して私たちの口に入るまでに完全に農薬が除去されているという訳ではなく、この残っている農薬のことを残留農薬と呼びます。
日本では農業に使用される農薬は、農薬取締法によって登録が義務付けられていて、残留農薬の基準は約350種類の農薬において約130種類の農産物の種類ごとに8000以上の基準が定められています。
■④食品添加物
食品添加物とは食品の製造過程・食品の加工や保存の目的で、食品に添加・混和などの方法によって使用するものと食品衛生法で定義されています。
<食品添加物の働き>
- 乳化剤:乳脂肪などを均一に混ぜる
- 安定剤:形を保ち、舌さわりを良くする
- 香料:特有の香りをつける
- 着色料:自然の色を補う
- 酸味料:酸味をつける
- 調味料:味を調える
- 保存料:腐敗を抑える
- 発色剤:色味を保つ
また、日本での食品添加物の分類は以下の4つに分類されます。
①指定添加物
②既存添加物
③天然香料
④一般飲食物添加物
<①指定添加物>
人の健康を損なう恐れがないものとして厚生労働省が指定したものであり、具体的には厚生労働省が定める「食品添加物公定書」に記載されていて、その規格が公的に規定されその中から用途・用法を限って使用が許可されます。
<②既存添加物>
天然の添加物として使用実績が認められた、品目が確定している添加物。
<③天然香料>
動植物由来の天然物質で、食品の香り付けに使用されています。基本的に使用する量はごくわずかと推定される添加物のことです。
<④一般飲食物添加物>
その他の食品添加物です。
大きく分けるとこの4種類に分かれる食品添加物ですが、約1500品目あるとされていて、1品目であれば一生毎日食べても安全だとしても複合での食べ合わせや同時に食べた時の総量から起こる害などのデータはありませんので注意が必要です。
現代人が意識を高めたい食育についてのまとめ
食育とは「栄養教育+食事教育」であり、すごく簡単にまとめると「栄養や安全性を考えることと食卓をみんなで囲むことが合体した考え方」です。
家族と同居している方は、なるべく家族全員で食卓を囲んでください。お子様がいるご家庭では特にこの考え方は大切です。
また、今回紹介させていただきました春夏秋冬のおすすめな旬の食材を食べて、逆に「遺伝子組み換え食品」「環境ホルモン」「残留農薬」「食品添加物」などについては注意をしていきましょう。