近年、従業員の健康維持や企業の生産性・イメージの向上を目的に、福利厚生としてスポーツジムを導入する企業が増えています。従業員に運動機会を提供することは、従業員満足度の向上や採用力の強化にもつながります。
この記事では、健康経営を実現するための第一歩として、スポーツジムを導入する意義やメリット、経費計上の条件、ジムの選び方などを詳しく解説します。
目 次
福利厚生にスポーツジムを導入する意義とは?
福利厚生は、従業員の健康支援だけでなく、健康経営や持続可能な経営戦略の一環として重要視されています。特にスポーツジムの導入は、運動不足の解消やストレス軽減を促し、従業員が高いパフォーマンスを維持できる環境づくりに貢献する施策の一つです。
さらに、健康経営優良法人の認定を受けるなど、健康重視の取り組みを進めると、企業ブランドの向上や採用力の強化にもつながります。これらの施策を積極的に取り入れることで、企業の持続的な成長も期待できるでしょう。
福利厚生にスポーツジムを導入するメリット
ここでは、福利厚生にスポーツジムを導入するメリットを詳しく解説します。
健康が増進され従業員の生産性が向上する
有酸素運動や筋力トレーニングを継続的におこなうことは、従業員の体力を向上させ、ストレスの軽減やメンタルの安定にもつながります。心身の健康状態が改善されれば、集中力や業務効率が向上し、組織全体の生産性も上がるでしょう。
また、運動習慣のある従業員は疲労回復が早く、長期的に健康を維持しやすくなります。その結果、病欠やプレゼンティーイズム(出社しても十分に働けない状態)の減少が期待できる点もメリットです。健康な従業員が増えれば、職場の活気やパフォーマンスの向上にも寄与します。
従業員満足度が高まりモチベーションが強化される
健康的なライフスタイルを支援する福利厚生は、従業員の満足度向上に貢献します。スポーツジムを利用することで、従業員の健康意識が高まり、体調の改善だけでなく仕事への意欲も向上する傾向があるためです。
また、企業が従業員の健康をサポートする姿勢を示すことで、会社への信頼感が増し、働きやすい環境が整います。結果として仕事へのモチベーションが高まり、業務のパフォーマンス向上や離職率の低下につながるでしょう。
社内コミュニケーションが促進する
スポーツジムの利用を通じて、従業員同士のコミュニケーションが活発になることも大きなメリットの一つです。共通の運動習慣をもつことで、部署や役職の垣根を超えた交流が生まれ、社内の連携強化につながります。
ジムのトレーニングやスポーツイベントを通じて協力関係が生まれると、職場の雰囲気が良くなりチームワークの向上にも貢献します。その結果、組織全体の活性化や、業務の効率化も進むでしょう。
企業イメージが向上し採用力がアップする
福利厚生としてスポーツジムを導入することで、健康経営に取り組む企業としてのイメージが強化され、求職者にとって魅力的な企業として認知されやすくなります。特に、働き方や福利厚生を重視する若い世代にとって、スポーツジムと契約していることは大きな魅力となるでしょう。
さらに、健康的な職場環境は、従業員定着率の向上や離職率の低下にもつながります。結果として、人材確保がしやすくなり、企業の競争力も向上します。
経費計上による節税効果を得られる
スポーツジムの法人契約は、福利厚生費として経費計上が可能です。経費計上によって法人税の負担を軽減できれば、財務面での大きなメリットを得られます。
ただしそれには条件を満たし、税務署から経費として認められなければなりません。具体的な条件については、次章で詳しく解説していきます。
ジムを福利厚生費に経費計上できる条件
ここでは、福利厚生にジムを導入する際に、経費計上するための条件を解説します。
従業員全員が利用できる
福利厚生としてジムを利用する際は、全従業員が公平に利用できる環境を整えることが重要です。特定の役職や一部の社員だけが利用できる制度では、福利厚生費として認められず、役員報酬や給与とみなされる可能性があります。
そのため、正社員はもちろん、同一労働同一賃金の観点から、契約社員やパートタイム従業員も含め、誰もが利用できる制度設計が必要です。
金額が合理的である
ジムの利用料が市場価格や企業の福利厚生制度の範囲内で適正であることも、経費計上の重要な条件の一つです。極端に高額なプランや、一般的な法人契約の相場を大きく超える費用は、税務署に指摘される可能性があります。
明確な金額基準は設けられていませんが、常識的な範囲内でなければなりません。企業の規模や従業員数に応じた合理的な料金設定をおこない、税務上のリスクを避けましょう。
法人名義で契約し就業規則へ明記する
福利厚生としてジムを導入する場合、法人名義で契約を結ぶことが基本です。例えば従業員が個人名義で契約し、あとから企業が費用を負担する形では、福利厚生費として認められません。
ジム利用のルールを就業規則に明記しておくと、税務署の確認時に制度の正当性を証明しやすくなります。契約に際しては、法人会員制度を提供しているジムを選ぶとスムーズでおすすめです。
利用規約を作成する
ジムを福利厚生として提供する際には、従業員全員が公平に利用できるよう、社内向けの利用規約を整備することも大切です。利用条件や会社負担の範囲などを明確にし、ルールを統一しておくと、運用がスムーズになります。
たとえば「月○回まで会社負担」などのルールを設けておくと、過度な利用や特定の従業員のみが恩恵を受ける状況を防げます。定めたルールは全従業員に周知し、公平な運営を心掛けましょう。
利用状況を適切に管理する
ジムの福利厚生費を経費として計上する場合、従業員の利用状況を記録・管理し、必要に応じて証明できるようにしておくことが求められます。利用実績の記録を残すことで、税務署からの確認や調査に対応しやすくなるでしょう。
具体的には、法人契約の利用履歴を定期的にチェックし、利用頻度や参加者の状況を把握することが重要です。これにより、実態に即した運用がしやすくなります。
ジムを福利厚生費に経費計上しにくいケース
福利厚生としてスポーツジムを導入する際、経費計上が認められにくいケースがあります。ここでは、具体的な事例を紹介します。
個人事業主や一人社長、家族経営である
個人事業主やフリーランスの方がジムの利用料を経費として計上するには、業務との直接的な関連性の証明が必要です。しかし、個人名義での利用では、福利厚生費として認められないことが一般的です。一方、屋号名義で会員になった場合は、従業員の利用分だけなら経費計上できる可能性があります。
また、一人社長や家族経営の企業で、実質的な従業員が経営者本人や家族のみである場合も、業務に必要不可欠なものでない限り、税務署に「福利厚生」として認められにくい傾向があります。これは、福利厚生の提供者と受益者が同一であるとみなされることが理由です。
利用者が少ない
全従業員が利用できる環境を整えていても、実際の利用率が極端に低い場合、福利厚生費として認められない可能性が高くなります。福利厚生は全従業員のためのものであり、利用者が少ないと、その実態が問われてしまうためです。
そのため、全従業員の利用促進を図り、適切な利用状況を維持することが重要です。
福利厚生で導入するスポーツジムの選び方
福利厚生としてスポーツジムを導入する際の、選定ポイントを解説します。
従業員のニーズと健康意識を把握する
まずは、従業員がどの程度運動を必要としているか、どのような運動を望んでいるかを事前に調査することが重要です。健康診断結果やアンケートを活用して運動不足やストレスの程度を把握し、適切なジムを選定しましょう。
具体的には、健康保険組合と連携し、生活習慣病のリスクや運動習慣がある従業員の割合を確認するとよいでしょう。社内に健康経営アドバイザーがいるなら、中心となって社内アンケートを実施し、従業員の健康意識や運動への興味・ニーズを分析するのがおすすめです。
健康経営アドバイザーについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
健康経営アドバイザーとは?メリットや取得の流れを解説
サービス内容・料金を確認する
続いて、サービスの内容や料金が、ニーズや予算にあっているか確認しましょう。
利用料金は適正な価格か
利用料金については、福利厚生費として適切な範囲に収まっているかを確認することが重要です。ジムの法人会員の料金プランには「月額固定型」「従量課金型」「チケット型」など種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
たとえば、月額固定型は予算計上しやすいが、利用が少ない場合コスト効率が悪くなる可能性があります。一方、従量課金型やチケット型のプランは、利用状況にあわせて柔軟に対応できるため、無駄なコストを抑えやすくなりますが、利用状況の管理が煩雑になりがちです。
自社の利用状況や、従業員のニーズにあわせた適切な料金形態を選びましょう。
自社の営業範囲にあう店舗規模・立地か
ジムの立地や店舗数も、重要な選定ポイントです。支店が多いなど営業範囲が広い場合は、複数店舗の利用が可能であることが重要です。また、従業員がアクセスしやすい立地でなければ、利用率が低迷するリスクがあります。
例えばCOSPAウエルネスでは、全国対応の「共通法人会員制度」や特定の店舗限定の「個店法人会員制度」など、柔軟な契約オプションを提供しており、企業のニーズに応じた利用が可能です。このように、ジムの立地や店舗数、契約オプションを確認し、自社の営業範囲や従業員の通勤経路に適したジムを選ぶことが大切です。
どのようなサポートがあるか
ジムを選ぶときには、提供するサポート内容もチェックしましょう。
たとえば、利用状況をレポートしてくれるジムだと、従業員の利用状況を把握し、健康促進の効果を測定しやすくなります。
また、健康セミナーの開催や、トレーニングプログラムの提案など、従業員の健康意識を高めてジムを利用するためのサポートがあると、利用率低迷のリスクを避けやすくなるでしょう。
実際に施設を利用してみる
ジムの法人契約を検討するときには、担当者自身が実際に施設を利用し、設備やサービス内容を確認することも大切です。見学や体験を通じて、従業員が快適に利用できる環境かどうかを評価しましょう。
特に、施設の清潔さや雰囲気、利用者層、スタッフの対応などは、従業員の利用意欲に直結します。また、実際に利用することで、ジムの強みや特徴を把握でき、社内への周知や利用促進の際に、具体的な情報を伝えやすくなるのもポイントです。
オフィスジムを設置するのもおすすめ
スポーツジムと法人契約するのではなく、オフィス内にフィットネスマシンやストレッチ設備を設置し、従業員が手軽に運動できる環境を提供する方法もあります。職場内に運動環境を整備することで、就業前後や、業務の合間のリフレッシュやストレス解消につながり、従業員の生産性の向上やモチベーションアップが期待できます。
また、通勤時間や場所に縛られることなく運動できるため、利用率が高まることもオフィスジムのメリットです。初期コストはかかるものの、長期的には外部ジム利用料よりもコストを抑えられる可能性もあります。
COSPAウエルネスでは、オフィスジムの設置を支援するサービスを提供しています。経験豊富なスタッフが最適なプランを提案しますので、ぜひ気軽にお問い合わせください。
オフィスジムについて詳しい内容は、こちらからご確認いただけます。
まとめ
福利厚生としてスポーツジムを導入することは、従業員の健康促進や企業の生産性向上に寄与します。また、採用力や企業イメージの向上、節税効果も期待できます。
ジムの導入を成功させるには、従業員のニーズを把握し、自社に適したプランを選定することが重要です。また、外部ジムの法人契約のほか、オフィスジム設置も選択肢の一つとしておすすめです。健康経営を推進し、企業の持続的な成長を目指すために最適な選択をご検討ください。
なお、COSPAウエルネスでは、健康経営をサポートするサービスとして、ジムの法人契約・オフィスジムの設置サポートのほかにも、以下のようなプランを提供しています。
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